平成14年(2002年)以降の教育研究業績
(学術論文)
1)強迫症状を訴える男性の夢と箱庭(単著)
2003年2月 埼玉工業大学人間社会学部紀要 第1号 pp9-18
概要:強迫神経症者との160回におよぶ心理療法過程について、主に夢と箱庭作品の分析を中心とした
考察。知性化傾向の強い強迫神経症者にとって、夢や箱庭を扱うこと自体がその強い知性化をゆるめる作用をもっていたことが明らかになった。
2)箱庭療法過程に生じたさまざまなテーマ-橋:つなぐもの,へだてるもの-(単著)
2004年3月 埼玉工業大学人間社会学部紀要 第2号 pp11-19
概要:3事例の箱庭療法過程と箱庭グループワークにおいて表現された「橋」のイメージについて考察した。 「意志の拡張」としてのイメージの他,創造の場としての橋や,別れ,分離を強調している橋,また異界に架けられた橋などの象徴的意味を有する橋イメージの存在することが明らかになった。
3) 箱庭療法過程に生じたさまざまなテーマ―石:石化としての死と生の世界-(単著)
2005年3月 埼玉工業大学人間社会学部紀要 第3号 pp17-26
概要:1事例の遊戯療法過程及び成人の箱庭療法過程、またグループにおける箱庭制作の過程において出現した石の意味を考察した。生命力の喪失としての石の意味及び世界秩序を改変させるトリックスター的役割や守り神としての石の意味を明らかにした。
4) 大学1年生の入学時の精神的健康について(共著)
2005年3月 埼玉工業大学人間社会学部紀要 第3号 pp17-26
概要:本学2004年度に入学した大学1年生のうち、フレッシュマンキャンプに参加した618名(男性558名、女性60名)対し心の健康自己評価質問紙(SUBI)を実施した。その結果、本学の学生の心の健康度は高いが、心の疲労度は低いという結果が得られた。また、性差については男性に比べ女性は心の健康度が高いと同時に心の疲労度も高いことが明らかとなった。
5) 大学1年生の入学時の精神的健康について(2)-心の健康度と心の疲労度の分析より-
(共著) 2006年3月 埼玉工業大学人間社会学部紀要 第4号 pp.31-38
概要:本学2005年度に入学した大学1年生のうち、フレッシュマンキャンプに参加した494名対し心の健康自己評価質問紙(SUBI)を実施した。その結果、新入生の心の健康度は低く、大半の新入生は心が疲労した状態にあることが明らかとなった。また、性差については有意な差は認められなかった。
6) 大学1年生の入学時の精神的健康について(3)-SUBIの各項目の分析より-
(共著) 2006年3月 埼玉工業大学人間社会学部紀要 第4号 pp.39-48
概要:本学2005年度に入学した大学1年生のうち、フレッシュマンキャンプに参加した494名対し心の健康自己評価質問紙(SUBI)を実施し、SUBIの各項目の分析を行った。その結果、困難に直面した時に他者には助けてもらえそうであると知覚している反面、自分で解決することはむずかしいと考えていること、性差については、男性では人生の意味などについての失望を感じている学生が多く、女性では対人関係に問題を抱えている学生が多いことが明らかになった。
7) 大学1年生の入学時の精神的健康について(4)-SUBIの因子分析的検討-
(共著) 2006年3月 埼玉工業大学人間社会学部紀要 第4号 pp.49-56
概要:本学2005年度に入学した大学1年生のうち、フレッシュマンキャンプに参加した494名対し心の健康自己評価質問紙(SUBI)を実施し、SUBIデータの因子分析的検討を行った。その結果、「肯定的人生観」、「心理的動揺」、「社会的支援」、「家族の支援」、「身体的不調感」、「対処への自信」、「友人関係の悩み」の7つの因子が見いだされた。
(研究発表)
箱庭制作のプロセスと「異界」のテーマ (単独) pp88-89
日本箱庭療法学会第20回大会 2006年10月8日 京都
概要:48名の学部大学生のよる箱庭作品の箱庭制作プロセスの分析及び箱庭のテーマの分析を行った。
テーマにおいては、日常と繋がった非日常である「異界」をめぐるテーマが多く、青年のコスモロジーの模索
というテーマについて考察した。
(著書)
遊びの中の「破壊と創造」―地震のイメージをめぐってー 児童心理5 金子書房 2007年5月 pp104-108
概要:箱庭療法において表現された地震のイメージや夢に現れた復興のイメージをもとに、江戸末期の鯰絵と関連させながら遊びの中の破壊と創造について考察した。